金曜の午後、企業向けの短尺をひとつ切り終えて、休憩がてらニュースを流していました。北朝鮮のミサイルの話と、トランプ大統領がまた日本にどうこう言ったという話が、ほとんど地続きみたいに並んで流れていって、気づいたら手が止まっていました。
仕事柄、こういう映像を見ると内容より先に「これ、何秒に収めた素材だろう」と考えてしまいます。SNS用だと、たぶん15秒。飛翔体が映って、地図が出て、官房長官の会見が三秒。トランプ氏の発言は、いちばん強い一文だけが切り出されて、あとは全部落ちる。実際に僕が普段やっているのがまさにそれなので、他人事として批判する気にはなれないんですよね。尺に入らないものは切る、というのはただの物理で、そこに悪意はない。
でも今日はなんというか、切られた側の三十秒のほうが気になってしまって。会見って、あの前後で「現時点では」とか「引き続き情報収集を」みたいな、断定を避ける言い回しが挟まっているはずなんです。慎重に喋っている部分ほど、編集で最初に落ちる。そうやって、もともと曖昧に言われていたことが、切ったあとには妙にはっきりした話に見えてくる。自分の手つきでそうなっていると思うと、ちょっと落ち着かない気持ちになりました。
姪が中学生なんですが、ニュースはほぼショート動画で入ってくるらしくて。この前も、断片だけ見て「これってヤバいの?」と訊かれて、うまく答えられませんでした。ヤバいかどうかを判定できるだけの前後が、その動画にはもう残っていない。じゃあ元を見なよ、と言えるほど僕自身が元を見ているかというと、正直そうでもない。
結論はないです。今日中に返さないといけないデータがあるので、あと少ししたら戻ります。ただ、断定を避ける言い方って、僕は自分の文章の癖だと思っていたんですけど、あれはあれで残す価値のある情報なのかもしれない、と今日は思いました。編集で最初に消えるものほど、たぶん本当のことに近い気がします。
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